個別指導塾スタンダード 民事再生法の適用申請に思うこと│福岡の個人契約・家庭教師ふなきち

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個別指導塾スタンダード 民事再生法の適用申請に思うこと

福岡では割と有名な個別指導塾スタンダードが6月28日付で福岡地裁に民事再生法適用を申請したとのことです。
(参照:福岡の個別指導塾が民事再生法申請 負債127億円(日本経済新聞)

 

ここ数年、個別指導塾スタンダードの店舗が減ってきているような気がしましたが、やはり経営難だったようです。

低料金を謳い文句にしている個別指導塾の供給過多は明らかですので、他の個別指導塾も経営的に大変なのかもしれません。

民事再生法が適用されても、成功率は低く、倒産・廃業に至ると言います。 少子化、低価格個別指導塾の過当競争は続きますので、革新的な経営戦略を打ち出さないと厳しいでしょう。

 

「低価格でより良いサービス」という謳い文句。 私は低価格で高品質な個人指導サービス提供は難しいと思っています。 もちろん、個人塾などの小規模なものは別です。 中には趣味で塾を開いている資産家の方、すでに別の職種で長年はたらき定年退職された方が、利益を気にすることなく経営されていることは珍しくありません。

スタンダードはどうでしょうか? 財務諸表を確認できないので詳細はわかりませんが、 同じように個別指導塾を運営する上場企業のものを確認すると、ランニングコストの比率でもっとも大きいのは人件費のようです。

低価格路線のままで利益を伸ばそうと考えたら、コスト、つまり人件費を抑えるしかありません。 実際、インターネット上にあるスタンダードに関する求人や社員、元社員による口コミサイトを見ると、 アルバイト講師の報酬は、1コマ(75分)で1350円程度、正社員でも年収300万前後と、なかなかに厳しい。自分なら他の仕事を探すと思います。

人件費を削ると優秀な人材も集まりにくいし、離職率が高いため講師が成長することもなく、安定した良いサービスの提供が難しくなります。 やはり、良いサービスが提供できないのであれば、いくら低価格であっても生徒は集まりません。 コロナ禍で生徒が一度離れていってしまい、戻ってこなくなった要因は、そういうところにあるのだと思います。

福岡は全国的に見て、人口が増えている都市ではありますが、それでも少子化の影響は大きいようです。 子どもの数は減っていますが、英進館のような大手学習塾は年々売上を伸ばしています。 その他の塾で残りのパイの奪い合いとなり、今後も廃業する塾が増えると予想されます。

講師の確保も大変なようです。個別指導塾を経営する知人によると、少子化で大学生の数が減っているため、講師の募集をかけても殆ど連絡が来ないとのことです。 また、私が活動している東区では、九大の箱崎キャンパスが移転したため、大学生が激減しました。 近隣には私大しかなく、オールラウンダーで中高生に指導できる大学生は希少な存在となり、そのような優秀な学生は時給の良い塾を選びます。

良い講師が集まらなければ、生徒も集まらないの負のスパイラル状態です。

 

以前、この個別指導塾スタンダードは、経営幹部による社員への悪質なパワハラが問題視され、全国ネットで報道されました。 当時その報道をみて、こんなことが明るみに出たら、生徒が離れていくだろうなって思いましたが、やはりという結果ですね。

おまけに今回の記事を作成するうえで知ったのですが…。 パワハラ問題の前年には、女性の就活生へのセクハラが問題視され、鹿児島大学から名指しで注意喚起されていたようです。 ちょっと会社として問題がありですね。

今後さらに少子化が進行し、スタンダードだけでなく多くの個別指導塾は淘汰されていくでしょう。 私は家庭教師で業態がだいぶ違うのですが、他人事ではありません。 とは言え、特にやれることはないので、経験を重ね、指導力を磨いて、地道にやっていくしかありませんね。

2024年7月4日更新



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