現在、指導している中学3年生の生徒の話です。 今週末に私立の受験校の希望を中学校に提出しなければならないのに、決めきれないとのことでした。
私としては、こちらの方がおすすめといったアドバイスは避けるようにしています。 客観的な事実と私が過去に教えた生徒から聞いたことを、できるだけ中立的に提示して、生徒に選択してもらいます。
そこで話したことなどが誰かの参考になればと思い、書き残しておきます。
@ 偏差値
どの程度の水準の生徒が集まるかは知っておくべきだと思います。 ここで注意すべきなのは、例えば偏差値50の学校であれば、50なければ合格できないのかというと、そういうことではありません。 合格水準に届く生徒の平均偏差値が50くらいと捉える方が良いでしょう。 上位で合格する生徒は55くらいあるかもしれませんし、下位の方の生徒は45くらいかもしれません。
現在の自分の偏差値と比較することで、合格すると仮定したときにどの位置で合格するのかの予想を立てることができます。 それによって、入学後の学力の水準や学習プランのイメージをしておくことは重要です。
A 定員数・倍率
今年度の定員数、前年度の定員数、受験者数、合格者数、実質倍率は、チェックしておく必要があります。 実質倍率が他校と比較して極端に高いのであれば、人気が高いと言えますので、やはり合格しにくくなります。 ただし、公立校などでは、前年度に倍率が高い学校は避けられる傾向があり、 翌年には倍率が低くなっていることもありますので、そのことも考慮しましょう。
B 進学実績
これもチェックしておくべき事柄です。過去に進学実績があるからといって、自分も同じ進路を歩むことができるわけではありませんが、 その学校に合格させた経験やノウハウを持っているということは大きな強みです。
C 通学時間
意外と軽視されがちなのが通学時間です。 自宅を出て、駅までの時間、電車が来るまでの時間、電車に乗車する時間、到着駅から学校までの時間を事細かにシミュレーションをしてみましょう。
二つの学校を比較して片道10分の違いであったとしても、往復だと20分、年間に250日くらい通うとすれば、20分×250日=5000分≒83時間になります。 3年間だと約250時間になり、約10日が通学時間として多く消費されることになるわけです。
その時間を費やすだけのメリットがその学校にあるかどうかの見極めもしておくべきでしょう。
D 学校の雰囲気(在校生の声)
これはなかなか手に入りにくいとは思いますが、実際に通っている生徒に質問ができるのであれば、直接聞いておくと良いでしょう。
例えば、課外授業の有無・コマ数、模試を受ける頻度、授業や昼休みの雰囲気、いじめの有無、部活生の比率など、 現在通っている生徒に聞いてみなければ分からないことが多くあります。
オープンスクールではわからないこともあります。 私の元教え子にオープンスクールでは綺麗な校舎を見せられ期待をしていたのに、 入学してみたら自分が進学したコースは見せられた校舎とは別の校舎だったということがありました。
中学校の先輩や友だちの兄弟など、機会があるのなら積極的に情報を集めてほしいと思います。 現在はインターネットなども利用はできますが、間違った情報なども多くありますので、注意が必要です。
特に第一志望校が公立校の場合、時間をかけずに私立の受験校を選択することがあり、 後でこんなはずではなかったということになりがちです。
もちろん、公立校に進学する気満々で受験勉強に取り組んでいると思いますが、「勝負事は時の運」です。
どんなに模試でA判定を連続で取っていたとしても不合格になる人がいれば、ずっとE判定なのに合格してしまう人もいるのが、入試です。
どっちに転んだとしても後悔の無い選択していくべきですし、その慎重さこそが成功を引き寄せると思っています。
2021年11月23日更新