学力に関するさまざまな概念については、以前に紹介しました。
(参考:学力とは? 学力の二元的分類と学力の樹モデル)
上記の記事の最後に、テストの得点や偏差値だけで判断すると、適切な指導はできないと書きました。。 そのことも含めて、今回は、私が考える学力向上について、紹介していこうと思います。
確かに得点や偏差値は、子供の成績や進路に関わる、重要な概念の一つです。
しかし、以前説明したように、学力にはさまざまな概念があり、点数や偏差値でわかることはその一部に過ぎません。
上の図は、そのときにに紹介した「学力の二元的分類」と「学力の樹モデル」です。
私が目指す学力向上は、まずは学習習慣の定着と、勉強の方法の習得を第一の目的とします。
私がテストの得点や偏差値アップを前面にPRしません。 それらは、生徒の持つ学力を適切に評価する値ではないと考えているからです。
定期テストは試験範囲がありますし、フクトなどの模試にはだいたいの傾向があります。 その対策さえすれば、英語の点数が40点アップ、偏差値が15アップのような劇的な成果をあげることは、難しいことではありません。
しかし、手取り足取り教えた「知識」や「技能」は、定着しないものです。 底に穴の開いた水がめから流れ出る水のように、覚えたことは忘れてしまいます。 さらに、生徒は良い点数が取れて安心し手を抜いてしまえば、次の試験ではガタッと成績が落ちてしまいます。
このように、テストの得点や偏差値は流動的で不確かなものですから、 ある一場面を切り取り「点数が40点アップ」「偏差値が15アップ」と言った宣伝文句にするのには抵抗があるのです。
家庭教師は一対一の授業が行えるため、塾などの集団授業と比べて、成績アップには効果的です。 上記で述べたように、手取り足取り教えることで、成績が劇的にアップすることも珍しくありません。
けれども、その弊害があるのも事実です。 それは、家庭教師から与えられた課題だけをやっていたため、 自発的な学習習慣が身につかず、進学先の学校の授業についていけなくなるケースです。
また、さらに先の将来を見据えたとき、社会人になり仕事をするうえで、 学校で学んだ「知識」「技能」が役に立つかと言うと、そのほとんどは直接的に役立つとは言えません。
一方、論述力・討論力・批判的思考力・問題解決力(B学力)、意欲・好奇心・持続力・集中力・コミュニケーション力(C学力)は、 仕事をしていくうえで必要不可欠です。
したがって、「学力の樹モデル」のB学力やC学力のようなテストでは、測れない学力も伸ばしていく必要があります。 テストの点数がよくて、それなりの学校は出たけれども、いわゆる「指示待ち族」ではいけないのです。
それから週に1回60分という短い指導時間ですが、根気よくリハーサルさせていきました。
もちろん、テストの点数や偏差値をあげるためにも、このB学力やC学力を伸ばす必要があります。 単に生徒のわからないところを教えるだけでは、思い通りに成績はあがらないのです。
中間テストで数学が悪かったから熱心に教えて、また宿題もちゃんとこなした。 そのおかげで、期末テストは40点アップ。けれども、他の教科が10点ずつ下がってしまい、合計点は中間テストと変わらなかった。 最悪の場合、数学で上がった以上に他の教科が下がってしまい、合計的が大幅にダウンすることも考えられます。
このようなことを防ぐためにも、自ら学ぶ力を身につけることが重要なのです。
とは言え、口で言うのは簡単なのですが、実際の指導となるとかなり難しいことです。 生徒にはスケジュール表を書いてもらうようにしています。 このような積み重ねが、成績にも将来的にも活きてくるのです。
(2014.11.22更新)