皆さんは「学力」という言葉を聞いて、どのようなことを思いうかべるでしょうか。 おそらく、多くの人が最初に思いつくのは「テストの点数」で表されるような学力だと思います。
たしかにテストの点数で測れる学力は、生徒や保護者にとって身近な概念です。 家庭教師の依頼を受けるときも、まずは試験や通知表の点数の話から始まります。
しかし、広い意味で学力を捉えたとき、テストの点数だけでなく、他にも重要な概念が多くあります。 今回は、「学力」とはどのような力のことを指すのかについて説明したいと思います。
今回、「学力」の説明するにあたって、まずは「学力の二元的分類」について紹介します。 この分類は、東京大学大学院で「認知心理学」「教育心理学」の研究をされている市川伸一教授がまとめられたものです。 市川先生は、上の表のように、学力を「学んだ力」と「学ぶ力」、「測りやすい力」と「測りにくい力」に分類されています。
学んだ力このように、テストの点数で測れる学力は、ほんの一部に過ぎないことがわかります。
学力をさらに掘り下げて考えるうえで助けとなるのが、大阪大学の教育学者である志水宏吉教授が提唱する「学力の樹モデル」です。 このモデルは、学力を木の根・幹・葉に例えて、それぞれA学力・B学力・C学力と呼んでいます。
先ほど紹介した市川先生の「学力の二元的分類」と照らし合わせてみましょう。
葉にあたるA学力には、学んだ力かつ測りやすい「知識」と「技能」
幹にあたるB学力は、学んだ力で測りにくい「読解力・論述力」「問題解決力」
根にあたるC学力は、学ぶ力である「学習意欲・好奇心」「集中力・持続力」
木は、全体を支える根がないと、幹は太く育ちません。幹が育たないと、当然葉や花は育たないのです。 つまり、根にあたる「意欲・関心・態度」が養われないと、しっかりとした幹である「思考力・判断力・表現力」が身につかないこと、 青々とした葉である「知識」や「技能」が定着しないことを表しています。
このように学力にはさまざまな概念があります。
テストの点数が上がると家庭教師も嬉しくなります。 しかし、テストの点数だけで学力を判断すると、適切な指導はできません。
家庭教師は視野を広く持ち、生徒ひとりひとりの学力向上のために努めなければなりません。
次回は、私自身が考える学力の向上について、紹介しようと思います。
(2014.11.15更新)