今年で指導開始して4年目となる中学校2年生の話。
予習形式の授業を行っていて、現在、数学は1次関数を教えています。 予習形式の授業で何よりも重要なことは、宿題を通して授業で学んだ内容を復習することです。
それは生徒には口を酸っぱくして言っています。
けれども、先日、前の回に出した宿題を見ていると、空欄ばかり。 書いているところも適当に数字を代入しているだけで、まったく復習をしていないことが手に取るようにわかる、 そんな出来でした。
当然ですが、注意します。
復習をしていなかったのは、今回だけの話ではありません。 2,3か月に一度のペースで起こります。 中学2年という時期を考えれば、受験に向けて、学習態度、生活態度を改めるうえで重要な時期です。
普段は、復習の重要性、やるべき事を優先しなければならない理由、勉強をするうえでの工夫など、しっかりと伝えて、本人にも考え反省させています。
注意すると1週間はよくなるのですが、だんだん元に戻っていきます。 今度は少し強めにしかります、場合によっては保護者の方を交えて注意します。
それでも、長くて1か月くらいで元通りです。 簡単に人の特性は変わらないということでしょう。 少しずつでも変わっていくことを願いつつ、注意をしていきます。
しかし、今回は敢えて突き放すことを選択しました。
「今の態度では、今後教えることはできない。教えたって身にならないし、お金ももったいない、お互いにストレスも溜まる。 貴方の指導時間が空けば、別の生徒の指導もできる。もしも、今後、先生の授業を受けたいのであれば、考えを改めなさい。」と言って、授業を中断して帰宅しました。
仕事を放棄して、とんでもない家庭教師だと思われる方も当然いると思います。けれども、手取り足取りではその生徒のためにならないですし、家庭教師と生徒の間には信頼関係がなければ、授業は成立しません。
これは人間関係全般にいえることです。互いにリスペクトしあい、自分に与えられた役割は果たさなければいけません。 家庭教師は生徒を導く、生徒はそれに力の限り着いていく。最低限のルールだと思います。
これで辞めてしまう子もいますし、私の考えを理解して変わってくれる子もいます。いずれにしても、生徒本人が自分自身の責任で決めることで、辞める選択をしたとしても、自分を見つめるという点ではプラスになるのではないかと思っています。
帰宅後、親御さんに謝罪と事の顛末、私の考えをメールで伝えました。保護者の方へのフォローも忘れてはいけません。 今回は幸いにも理解を得ることができました。
次の授業で訪問したときに、まずは生徒から謝罪を受けました。 前回、私が帰宅したあとに、生徒と親御さんとでいくつかのルールをつくったそうです。 私はそのルールをきちんと守ることを約束してもらい、指導を続けることにしました。
普段の褒めたり、注意したり、軽く叱ったりすることを良薬とするなら、今回のように突き放すことは劇薬といえます。
良薬ではそこそこの効果は期待できますが、使いすぎると耐性ができ、効果が薄らいでしまいます。 生徒に「4年間も続けたのだから、先生が自分を見放すなんてことはないだろう」という甘えが芽生えてしまうんだと思います。
一方、劇薬は、使い所が良ければ大きな効果を発揮しますし、間違えば大きな副作用があります。 私と生徒、親御さんとは4年間で培われた信頼関係があるため、今回は敢えて突き放したわけです。 劇薬は、状況をしっかりと見極め、適切な場面で使えるように注意しなければなりません。
2017年5月23日更新
この話を書いて、4年間が経ちました。この生徒は現在も指導が続いております。
来年度には高校3年生になりますが、現在ではさすがに宿題は必ずするようになりました(苦笑) 数学3の極限や複素数平面など、中2の数学とは比べ物にならないくらい難しい数学の問題を解いています。
まだまだ、改善すべきことは多々ありますが、根気よく接すればしっかりと成長するものですね。 あと1年、精一杯サポートしようと思います。