「厳しく(威厳のある態度で)躾けるような指導をして欲しい」と要望されることがあります。 その場合は「私の性格上そういう態度で生徒に接することはできない」と断るようにしています。
私の場合、「とにかく厳しく躾ける」というスタンスを取っていません。 生徒には、できるだけ柔軟性をもった態度で優しく諭すように接しています。 厳しく、威厳ある人間を演じるのは、非常に疲れます。そのようなところで労力を消費したくありません。
ただ、そのような態度でいると、指導を始めた直後の生徒の中には、指示に従わなかったり、態度が悪くなる子がいます。 すると、やはり親御さんから「もっと厳しく躾けるように接してほしい」と要望を受けるわけです。
しかし、そのような対症療法では、まったく意味がないどころか、生徒にとってもマイナスです。
その生徒はいずれ進学、就職し社会に出ます。 そこでは、威厳のある教師、先輩、上司ではなく、私のようなタイプの人間も多くいるわけです。
現実として、結構いるんです。目上な人が優しく接するタイプだったら、見下す人が・・・。 そういう人は、上からも下からも仲間同士から信頼されません。当たり前のことです。
「威厳のある態度で厳しく躾けてほしい。」というのは、「うちの子は、厳しく強制的に接しないと、ちゃんとやらないし周りを見下すんです。 それが個性なんだから、先生はそれを尊重してください。」と同義です。
そういう環境で育てられた生徒に、私は将来性をまったく感じません。 私としては、他の生徒の指導に時間をまわしたいと思います。
とは言え、一度指導を始めた生徒なので、簡単に辞めることはできません。 それに、ここで辞めてしまうのも、生徒にとっても良い事ではありません。 駄々をこねれば、嫌なことから逃げることができると、学習してしまうので・・・。
ですから、その旨を親御さんに伝え、「半年間、様子を見てましょう。」と提案します。 そうすると、だんだんと私に慣れてきて、さらに私が甘いだけではないということが伝わりますので、上手くいきます。
半年間続けても、授業態度に改善が見られなければ、双方の利点のためにも、指導終了とします。
ちなみに、再三優しくと書きましたが、勉強への妥協は絶対に許しません。 勉強への厳しさは人の倍以上もっています。「優しい言葉で厳しく指導」が、私のモットーなのです。